熊鈴(クマ鈴)って本当に効果があるの?


熊よけの鈴って、熊が逃げだすんじゃないの?

鈴の音くらいで熊が退散するわけないお
常識的に考えて
目次
熊鈴とは?
熊鈴(くますず)とは、登山者やハイカーなどがクマとの遭遇を避けるために携行する小型の金属製の鈴(ベル)のことである。
歩くたびに「チリンチリン」と音を鳴らし、人間の存在を事前にクマへ知らせることを目的としている。
英語では「bear bell」と呼ばれる。
構造
熊鈴は通常、真鍮・鉄・ステンレスなどの金属製で、小さな鐘のような形をしている。主に次のようなタイプがある。
- 一般型:金属球が内部で揺れて音を出す。もっとも一般的なタイプ。
- マグネット式(消音機能付き):マグネットで玉を固定し、不要なときは音を止められる。
- 高音型・低音型:音域を変えることで、遠くまで届く音や耳障りでない音を選べる。
一般的な鈴との違い
普通の鈴が「聞いて心地よい音」を目指しているのに対し、熊鈴は「遠くまで届く・聞こえやすい音」を重視している。
熊鈴の音は低めで共鳴しやすく、林の奥まで届くよう設計されている。
たとえば、直径4〜5cmの真鍮製ベルでは約2〜3kHz前後の低音域が強く、人間より聴覚が鋭いクマには遠くからでも察知されやすいと考えられている。
熊鈴は「音を消したいときに止められる」構造(磁石式)を持つものもあり、山小屋や登山口でのマナー対策としても工夫されている。
歴史的背景
日本で熊鈴が登山用品として広く使われ始めたのは1970年代以降である。
北海道や東北地方など、ヒグマやツキノワグマの生息地域での登山・山菜採りが盛んになるにつれ、「音で人間を知らせる」という経験的知恵として普及した。
現代では登山用品店やホームセンターでも一般的に販売され、山岳会・自治体の安全ガイドラインにも「携行を推奨」と書かれている場合が多い。
熊鈴の効果
科学的な根拠
登山者に対するアンケート調査で「鈴をつけている人のほうがクマと遭遇する確率が低かった」という言及はあるものの、一般的に十分なデータを持つ科学的な根拠は示されていない。
【結果発表!】熊鈴の効果はあるのか!? | がんちゃんの雪山讃歌
米国の国立公園局によれば
米国の国立公園局によれば、「熊鈴はクマに人を知らせるには遅すぎる、鈴だけに頼るのはよくない」としている。
ベアベル(熊鈴)はバックパックにつける人気のアイテムですが、熊に自分の存在を効果的に知らせるものではありません。熊は、あなたが近づきすぎるまでその鈴の音を聞くことができないのです。熊に自分の存在を知らせるには、大声で呼びかける・手を叩く・話しながら歩くといった方法のほうが効果的です。
Bear bells may be a popular item to put on your backpack, but they don’t effectively warn a bear you’re in the area. Bears won’t hear the bells until you’re too close. Yelling, clapping, and talking are more effective ways of alerting a bear to your presence.
まとめ
熊鈴は音に依存しているため、環境・状況によっては効果が落ちる。
鈴の音が沢の水音、風、大雨などでかき消されてしまうと、意味をなさない。
また鈴の音を「人が持っている=娯楽・食べ物がある」と学習してしまったクマが、その音を「人来る=餌あり」と捉えて近づくケースもある。
欧米の例では「放牧した家畜に付けたベルでクマが寄ってきた」という報告もある。
また「熊鈴はむしろ好奇心旺盛な熊を惹きつける可能性もある」という意見もあることを知っておきたい。
「効果がない」
最近のアメリカ地質調査所(U.S. Geological Survey)の科学者トム・スミスによる研究では、野生のクマは熊鈴を無視し、鳥の鳴き声や他の背景音のように扱うことが示唆されている。したがって、熊鈴を持ち歩く目的そのものが否定される結果となっている。「逆効果になる」
もしクマが鈴の音を聞き取った場合、スティーブン・ヘレロ博士のような一部のクマの専門家は、その鈴の不思議な音に興味を持ち、かえってクマを引き寄せてしまう可能性があると考えている。No-they-don’t-work: A more recent study by U.S. Geological Survey scientist, Tom Smith, suggests that bears in the wild ignore bear bells, treating them as they would a bird or some other background noise. Therefore, negating the entire purpose of carrying it all.
They-make-things-worse: If bears do hear the bells, some bear experts like Dr. Stephen Herrero believe the bear bells may actually attract bears who are curious about the strange jingling sound.
Bear Bells 101 | Do They Really Work or Not? – Greenbelly Meals
全般的なクマ対策
通常の熊は人間を避ける傾向があるので、熊鈴で熊に「あらかじめ存在を知らせる」ことは多くの地域で推奨されている。
以下のような対策を併用することが望ましい。
歩行中常に音を出す
通常の熊はむしろ人を避ける傾向があるので、熊鈴だけでなく、ラジオなどより大きな音がなるものを鳴らし続けると良い。
ただし、
- 飢餓状態・餌付けされた熊である
- 熊が人に慣れている地域
など、「音を出す人間=食料を持っている」と熊が認識している場合は、逆に音を出す行為が危険であることを留意したい。
環境に注意する
沢沿いや風の強い日、視界の悪い道では鈴の音が届きにくいため、より意識的に声掛けや集団行動を心がける。
そもそも低視界・薄暗い時間帯・単独行動を避けることが大事だろう。
他の対策と併用する
食料を出しっぱなしにしない、登山道で単独行動を避ける、クマスプレーやホイッスルを携行するなどの対策を併用する。