日本の10年国債金利が3%に 30年ぶりの水準、住宅ローンや国の財政にどう影響?

日本の10年国債金利が3%に 30年ぶりの水準、住宅ローンや国の財政にどう影響?

何が起きた?

2026年9月1日、日本の10年国債の利回りが3%に達しました。3%台になるのは1996年以来、約30年ぶりです。

同日に行われた財務省の10年国債入札でも、平均利回りは2.995%、最も高い落札利回りは3.011%となりました。

ここで注意したいのは、ニュースでいう「国債金利3%」が、国債に毎年3%の利息が付いているという意味ではないことです。

今回発行された10年国債の表面利率は2.7%です。

では、なぜニュースでは「3%」なのでしょうか。

今回の入札では、額面100円の国債が平均97円76銭で落札されました。

額面より安く買えるうえ、毎年2.7%分の利息を受け取り、満期には額面100円が返ってきます。そのすべてを含めて投資した金額に対する収益率を計算すると、平均利回りが2.995%になります。

つまり、

表面利率=国債そのものに設定された利息

利回り=購入価格や満期時の返済まで含めた実際の収益率

です。

今回ニュースになっている「3%」は、後者の利回りです。

簡単にいうと

まず、国債とは国が出す「借用証書」だと考えると分かりやすいです。

政府は税収だけでは足りないお金を調達するため、投資家や銀行などからお金を借ります。そのときに発行するのが国債です。

たとえば国が、

「100万円貸してください。定期的に利息を払い、10年後に100万円を返します」

と約束するようなものが10年国債です。

実際の利付国債では、通常は半年ごとに利子が支払われます。

そして国債は、発行された後も市場で売買されます。

そのため価格は毎日変わります。

少しややこしいのですが、

国債価格が下がる → 利回りは上がる

国債価格が上がる → 利回りは下がる

という逆の関係があります。

たとえば額面100円で、毎年2円の利息を受け取れる国債があるとします。

100円で買えば、単純に見た利息は2%です。

しかし、その国債を90円で買えるなら、同じ2円の利息をより少ない元手で受け取れます。さらに満期には100円が返ってくるため、投資した90円に対する収益率は高くなります。

つまり今回の3%は、日本国債を買ってもらうには、それくらいの利回りが必要な市場環境になったことを示しています。

10年国債の利回りは、日本を代表する「長期金利」として、住宅ローンなどさまざまな金利の基準にもなります。

それで何が変わる?

一般の人に関係しやすいのが、住宅ローンなど長期間お金を借りるときの金利です。

特に長期間金利を固定する住宅ローンは、長期金利の影響を受けやすくなります。

10年国債の利回りが高い状態が続けば、銀行などがお金を長期間貸す際にも、以前より高い金利を求めやすくなります。

ただし、10年国債が3%になったからといって、住宅ローンの金利がそのまま3%上がるわけではありません。

特に変動型住宅ローンは、10年国債の利回りよりも、日銀の政策金利や短期金利の影響を強く受けます。

そのため、

固定型住宅ローン → 長期金利の影響を受けやすい

変動型住宅ローン → 短期金利や日銀の政策金利の影響を受けやすい

と分けて考えると分かりやすいでしょう。

一方、金利上昇には良い面もあります。

新しく発行される国債や預金などでは、以前より高い利息を受け取れる商品が増える可能性があります。

つまり金利上昇は、

お金を借りる人には負担増になりやすい

一方、

お金を貸す・預ける人には利息が増えやすい

という側面があります。

なぜ金利がここまで上がった?

今回の金利上昇には、複数の要因があります。

一つが物価上昇への警戒です。

中東情勢の緊張などから原油価格が上昇し、世界的に再びインフレが強まるのではないかとの懸念が広がりました。

物価が高い状態が続けば、中央銀行は金利を高めに維持したり、さらに引き上げたりする可能性があります。

日本でも、市場では日銀が今後さらに利上げするのではないかという見方があります。

もう一つが、日本政府の財政への警戒です。

政府が大規模な支出を続ければ、その資金を調達するために多くの国債を発行する必要があります。

国債の供給が増える一方で、投資家が「この利回りでは買いたくない」と考えれば、国債価格は下がります。

すると利回りは上昇します。

そのため今回の3%には、

物価上昇への警戒

日銀の追加利上げ観測

政府の財政や国債発行への警戒

などが重なっているとみられています。

国の借金が全部3%になるわけではない

ここは特に重要です。

10年国債の利回りが3%になったからといって、日本政府が抱えている国債すべてに、明日から3%の利息を払うわけではありません。

すでに発行済みの固定利付国債は、基本的に発行時に決められた利率が満期まで続きます。

そのため、政府への影響は徐々に表れます。

古い低金利の国債が満期を迎え、政府が新しい国債を発行して借り換えるときに、新しい国債の金利が高ければ、利払い負担が少しずつ増えていきます。

政府も金利上昇をすでに予算へ織り込んでいます。

2026年度予算では、国債の利払いなどを計算するための「積算金利」を3.0%に設定しました。

これは「10年国債金利が必ず3%になる」と政府が予想したという意味ではありません。

金利が想定以上に上昇した場合にも備え、国債費を見積もるために置く前提の金利です。

財務省によると、国債などの利払いに使う「利払費」は、2025年度当初予算の10.5兆円から、2026年度には13.0兆円へ増える見込みです。

金利の高い状態が長く続けば、古い低金利の国債が新しい高金利の国債へ少しずつ置き換わり、政府の利払い負担はさらに重くなります。

利払いに使うお金が増えれば、その分だけ社会保障、教育、防衛、子育て支援など、ほかの政策に使える財源を圧迫する可能性もあります。

今回の「3%」は、単なる投資家向けの数字ではありません。

日本が長く続いた「極めて低い金利で大量のお金を借りられる時代」から離れつつあることを示す、大きな節目と見ることができます。

今後の焦点は、3%を一時的に超えただけなのか、それとも3%前後の長期金利が定着していくのかです。

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