Google Picsが一般提供開始 画像生成AIは「作って終わり」から「部品を選んで直す」へ

Google Picsが一般提供開始 画像生成AIは「作って終わり」から「部品を選んで直す」へ

何が起きた?

Googleは2026年9月1日、AIで画像を生成・編集できる新サービス「Google Pics」の一般提供を開始しました

Google Picsは5月のGoogle I/O 2026で発表され、まず一部のTrusted Testers向けに試験提供されていました。

今回新しいのは、Google AI Pro/Ultraの個人ユーザーや、対象となるGoogle Workspace契約者などへ本格的な提供が始まったことです。

ただし、9月1日に対象ユーザー全員へ一斉に表示されるわけではありません。

Google Workspaceでは段階的に展開され、Rapid Release設定の組織では9月1日から最大15日、Scheduled Releaseでは9月15日から最大15日かけて提供されます。

Google Picsでは、文章で指示して新しい画像を生成するだけでなく、パソコン、Google Drive、Google Photosから既存画像を読み込み、AIで編集できます。

特に特徴的なのが、画像の中にある人物や家具などのオブジェクトを選び、その部分だけを変更できることです。

画像内の文字を選んで書き換えたり、字体を変更したり、別の言語へ翻訳したりすることもできます。

簡単にいうと

これまでのチャット型画像生成AIは、かなり単純化すると、

「こんな画像を作って」
→ AIが画像を作る

という使い方が中心でした。

気に入らないところがあると、

「人物はそのままで背景だけ変えて」

「文字だけ直して」

「右側の椅子を消して」

とAIに改めて頼むことになります。

最近のGeminiやChatGPTなどでも既存画像の編集はできます。

ただ、チャットで画像全体に対して指示する方式では、直したかった部分以外まで変化してしまうことがあります。

Google Picsが強く打ち出しているのは、ここをもっと画像編集ソフトに近づけることです。

たとえば部屋の写真なら、画面上で椅子にカーソルを合わせて選び、

「この椅子を赤くして」

と指定できます。

Googleはこの仕組みを「Object segmentation」と呼び、選択したオブジェクトを、画像のほかの部分を変えずに編集することをPicsの大きな特徴として挙げています。

たとえるなら、

画像生成AI + AI対応の画像編集ソフト

を一つにしたようなサービスです。

それで何が変わる?

一番大きいのは、AIで作った画像を「完成品」として受け取るだけではなく、あとから細かく直しながら完成させる制作物として扱いやすくなることです。

たとえばAIに広告画像を作らせて、

「商品はこれでいい」

「背景もいい」

「でも値段だけ間違っている」

となったとします。

これまでなら画像全体をAIにもう一度編集させたり、Photoshopなど別のソフトへ持っていったりする場面がありました。

Google Picsでは、認識された文字を直接選択して書き換えられます。

文字の太さなどのスタイル変更にも対応し、別の言語へ翻訳しながら元のデザインやフォントを維持することもできます。

画像内の特定のオブジェクトだけでなく、マウスで範囲を囲んで、その部分だけをAIに編集させることもできます。

さらに、個別のオブジェクトや選択範囲、文字などへの変更を最大5件まで追加し、まとめて適用することもできます。

そのほか、

2K・4Kへのアップスケール

縦横比の変更

トリミング

複数候補の生成

など、画像編集ソフトに近い機能も用意されています。

今までの画像生成AIと何が違う?

Google Picsの重要な点は、新しい画像生成モデルそのものが登場したことではありません。

GoogleはPicsについて、Geminiの画像生成・編集モデル**「Nano Banana」**を利用するツールと説明しています。

つまり違いは、主にAIモデルをどう操作するかにあります。

従来のチャット型画像生成では、

文章で指示する
→ AIが画像を生成・編集する

というやり取りが中心です。

Google Picsでは、

画像を作る
→ オブジェクトを選ぶ
→ そこだけ直す
→ 文字を直す
→ 縦横比を整える
→ 必要なら高解像度化する

という、画像編集ソフトに近い流れで作業できます。

また、既存画像を「スタイル」や「特定の要素」の参考として使い、新しい画像を生成することもできます。

そのためGoogle Picsは、単なる「AI画像生成サービス」というより、

生成AIを中心にした画像制作ツール

と考えた方が分かりやすいでしょう。

使い方としても、CanvaやAdobe Express、Photoshopなどの画像・デザインツールと重なる領域が増えてきます。

今回のポイントは、

「AIに画像を作ってもらう」

ところから、

「AIと一緒に画像を直しながら完成させる」

方向へ進んだことです。

Google Workspaceとの連携も大きな特徴

もう一つの特徴が、Google Workspaceとの連携です。

Google DocsやGoogle Slidesの中にある画像を選択し、別のアプリへ画像を書き出さず、その場からGoogle Picsの編集機能を利用できます。

たとえばプレゼン資料を作っている途中で、

「この写真の背景だけ変えたい」

「画像内の英語を日本語にしたい」

となっても、画像を保存して別のソフトで編集し、再び貼り直す必要を減らせます。

Google Pics単体でも、他のGoogle Workspaceアプリのようにリンクを共有し、複数人で同じ画像を共同編集できます。

変更履歴も保存されるため、AIによる編集が気に入らなければ以前の状態へ戻すことができます。

Google Driveとの連携も進みます。

PicsにはすでにDriveから画像を読み込めますが、Googleは今後数週間で、Driveに保存された多くの画像を直接Picsで開いて編集できる機能も提供するとしています。

誰でも使える?

現時点では、誰でも無料で使えるサービスではありません。

個人向けでは、

Google AI Pro

Google AI Ultra

が対象です。

Google Workspaceでは、

Business Standard/Plus

Enterprise Standard/Plus

Google AI Pro for Education

AI Expanded Access

などが対象になっています。

現在はパソコン向けに提供されており、日本語での画像生成・編集にも対応しています。

また、生成AI機能には利用上限があります。

Googleは少なくとも2027年2月28日まではPicsの生成AI機能について通常より高い利用枠を提供するとしていますが、その後は制限が変更される可能性があります。

Google Picsが重要なのは、画像生成AIの画質が少し上がったからではありません。

生成
→ 部分修正
→ 文字編集
→ サイズ調整
→ 共同編集

までを、一つの制作環境の中で行えるようにしたことです。

画像生成AIは少しずつ、

「画像を1枚出してくれる機能」

から、

「人間がAIと一緒に作品を完成させる制作ソフト」

へ変わり始めています。

情報源