中国AI株が急落、智譜・MiniMaxは9月に2〜3割下落 でも「世界のAI株暴落」ではない

中国AI株が急落、智譜・MiniMaxは9月に2〜3割下落 でも「世界のAI株暴落」ではない

何が起きた?

中国の生成AI企業、Z.AI(智譜AI)とMiniMaxの株価が大きく下落しています。

9月10日の香港市場では、Z.AIが前日比10.34%安、MiniMaxが8.98%安。翌11日もMiniMaxは7.53%下落し、Z.AIも下落が続きました。

9月11日までの9月月間では、Z.AIが約34%、MiniMaxが約23%下落しています。

背景には、中国のAIモデル市場で進む激しい価格競争や、AI開発に必要な巨額の資金、そして「AI企業は本当に利益を出せるのか」という投資家の警戒があります。

ただし、「中国のAI株がすべて暴落している」「世界のAI株が一斉に崩壊している」という状況ではありません。

同じ9月11日、中国のAI半導体メーカーEnflame(燧原科技)は上海市場への上場初日に179%上昇しました。米国でも同日のS&P500やNASDAQは1%以上上昇しています。

現在起きているのは、AI株全体の崩壊というより、**企業ごとの差が急速に広がる「選別相場」**と見るほうが実態に近そうです。

簡単にいうと

これまでは市場に、

「AIをやっている会社なら将来ものすごく成長するかもしれない」

という期待がありました。

たとえるなら、AIという名前の店なら、まだ利益がほとんど出ていなくても「将来大繁盛するはず」と高い値段で買われていた状態です。

ところが現在は、

「その店、本当に儲かるの?」

と投資家が帳簿を確認し始めています。

AIの性能が高いだけではなく、どれくらいの売上があり、計算機やデータセンターにいくら使い、最終的に利益を残せるのかまで厳しく見られるようになってきたのです。

それで何が変わる?

AI企業にとっては、単純な「性能競争」だけでは株式市場から評価されにくくなる可能性があります。

特に生成AIでは、一度モデルを開発すれば終わりではありません。大量のGPU、データセンター、電力、研究者などに継続して巨額の資金が必要です。

その一方、中国ではDeepSeekなどが非常に安い料金でAIモデルを提供しており、価格競争も激しくなっています。

利用者にとってAIが安くなるのは歓迎できることですが、企業側から見ると、料金を下げながら巨額の開発費を回収しなければならない難しい状況になります。

このため今後は、単に「利用者が増えている」「性能が上がった」という数字だけでなく、

AIを1回動かすのにいくらかかり、それをいくらで販売し、最終的に利益を出せるのか

がますます重要になりそうです。

なぜZ.AIとMiniMaxはここまで売られた?

一つの材料になったのが、DeepSeekによるAI料金の引き下げです。

DeepSeekは9月10日、新しいV4.1 Flashを投入するとともに、Flash系モデルの料金を引き下げました。

安価なAIモデルがさらに値下げされれば、同じ市場でサービスを提供するZ.AIやMiniMaxも料金を下げざるを得なくなる可能性があります。

さらに投資銀行Jefferiesは、中国の大規模言語モデル市場について競争が非常に激しいと指摘しました。

独立したAI企業よりも、AlibabaやTencentのようにクラウドサービス、豊富なデータ、巨大な既存事業を持つ企業のほうが競争上有利だという見方です。

Z.AIについては、AI関連事業を評価するときに使う売上倍率も引き下げられました。

そして9月11日には、Z.AIが約50億ドル規模の追加資金調達に動いたことも明らかになりました。

約20億ドルの新株発行と約30億ドルの転換社債を組み合わせる計画で、新株の発行価格は直前の市場価格より10%低く設定されました。

AI開発にはそれだけ大量の資金が必要だということでもありますが、既存株主にとっては保有株の価値が薄まる「希薄化」への警戒材料にもなります。

「AIバブル崩壊」と考えるのはまだ早い

重要なのは、AI関連銘柄がすべて売られているわけではないことです。

9月11日に上海市場へ上場したAI半導体メーカーEnflameは、公開価格142.18元に対し397元で取引を終え、上場初日だけで179%上昇しました。

同社はまだ最終利益を出していません。それでも中国が米NVIDIAなどへの依存を減らそうとしていることから、国産AI半導体への期待は非常に強い状態です。

海外でも同じです。

2026年7月にはAI半導体株を中心に大きな調整が起きましたが、その後8月には外国人投資家がアジア株を再び買い越しました。AI関連企業の好業績も理由の一つとされています。

そして直近の9月11日には、米国の主要株価指数はいずれも1%以上上昇しました。

したがって現在を、

「AIブームが終わって世界のAI株が暴落している」

と見るのは早すぎます。

むしろ市場では、

「AIなら何でも買う」

「どのAI企業なら実際に利益を出せるのか」

という変化が起きていると考えるほうが自然です。

中国では特にその差が鮮明です。

生成AIモデルだけで勝負する企業には厳しい評価が出る一方、AI半導体など一部の分野には依然として大量の資金が集まっています。

AI競争そのものが終わったのではなく、AI企業を見る投資家の目が「性能」から「採算」へ移り始めていることが、今回の急落で最も注目すべき点です。

情報源