サウジの国際空港で連続攻撃、死者18人に なぜ民間空港が狙われる?

サウジの国際空港で連続攻撃、死者18人に なぜ民間空港が狙われる?
サウジの国際空港で連続攻撃、死者18人に なぜ民間空港が狙われる?

何が起きた?

2026年10月10日、サウジアラビアの首都リヤドにあるキング・ハリド国際空港がミサイル攻撃を受け、12人が死亡、309人が負傷した。

サウジアラビアの民間航空当局によると、死亡したのはサウジアラビア人4人、バングラデシュ人2人のほか、米国、エジプト、ヨルダン、シリア、パレスチナ、スーダンの国籍を持つ人々である。

負傷者には重体の人も含まれ、空港の施設が損傷したことで航空便の運航が停止された。

その後、負傷者のうち1人が死亡し、10日の攻撃による死者は13人に増加した。

さらに翌11日にも同じ空港が攻撃され、パキスタン人1人が死亡、11人が負傷した。

この空港では7日と8日にも攻撃が発生しており、ロイター通信によると、11日までの一連の攻撃による死者は合計18人に達した。

攻撃には、隣国イエメンの武装勢力「フーシ派」が関与している。フーシ派は空港などへの攻撃を認め、航空会社や旅行者に対してサウジアラビアの空港を利用しないよう警告している。

簡単にいうと

今回起きているのは、戦争の標的が軍事基地だけでなく、一般の人々が利用する国際空港にも広がっているという問題である。

キング・ハリド国際空港は、国内外から多くの旅行者やビジネス客が訪れるサウジアラビアの主要空港である。

通常、民間空港は戦争に参加していない人々が行き交う場所だ。しかし、ひとたび攻撃を受ければ、飛行機を利用する人だけでなく、空港職員や周辺で働く人々まで危険にさらされる。

しかも、空港を攻撃することによる影響は、直接的な死傷者だけではない。

安全が確認できなければ航空機は離着陸できず、旅客便の欠航や目的地の変更が相次ぐ。海外からの観光客や企業関係者も移動できなくなり、経済活動にまで影響が及ぶ。

実際に今回の攻撃では多数の航空便が運休し、リヤドで開催された国際エネルギー会議にも影響が出た。

なぜ民間空港が狙われる?

フーシ派が空港を攻撃する背景には、サウジアラビアとの長年の軍事対立がある。

フーシ派はイエメンの首都サヌアなどを支配する武装勢力で、イランから支援を受けている。

一方、サウジアラビアはフーシ派と対立するイエメン政府を支援し、2015年からフーシ派への軍事作戦を続けてきた。

フーシ派は今回の攻撃について、サウジアラビアによるイエメンへの軍事行動などに対抗する姿勢を示している。

では、なぜ軍事基地ではなく民間空港なのか。

考えられる理由の一つは、少ない攻撃でもサウジアラビア全体に大きな影響を与えられることである。

空港を攻撃すれば、航空交通が混乱するだけでなく、観光業や国際ビジネスにも損害が及ぶ。外国企業が渡航や投資を控える可能性もあり、政府への経済的な圧力となる。

また、首都の主要空港が繰り返し攻撃されることは、政府が国内の重要施設を守り切れていないという印象にもつながる。

サウジアラビアはミサイルなどを迎撃する防空システムを備えているが、今回の連続攻撃では実際に多くの死傷者が出ている。

ただし、こうした経済的・心理的効果は攻撃の背景として考えられるものであり、フーシ派がすべてを明確な目的として公表したわけではない。

なぜ今、攻撃が激しくなっている?

イエメンでは2015年以降、フーシ派とサウジアラビアが支援する勢力の間で戦闘が続いてきた。

2022年には国連の仲介によって停戦が実現し、その後も大規模な戦闘は比較的抑えられていた。

しかし、2026年7月に戦闘が再び激化。フーシ派が支配地域を拡大し、サウジアラビア側も軍事作戦を強めている。

最近では、フーシ派がサウジ国内の空港や石油関連施設を攻撃する一方、サウジアラビア主導の軍事作戦によってイエメン国内でも民間人の死傷者が出ている。

つまり、双方の攻撃と報復が続くことで、戦闘の被害が広がっている状況である。

さらに、フーシ派はサウジアラビアの空港を今後も攻撃対象とする可能性を示し、航空会社や旅行者に警告を発している。

これは一度の攻撃による混乱ではなく、民間航空そのものが継続的な危険にさらされる可能性を意味する。

民間空港への攻撃は国際法上許される?

原則として、軍事目標ではない民間空港を意図的に攻撃することは禁止されている。

戦争中であっても、攻撃対象を無制限に選んでよいわけではない。

国際人道法では、軍事目標と民間施設を区別しなければならないという原則が定められている。

例えば、軍用機の運用などに使われ、軍事作戦に実質的に貢献している施設は、一定の条件で軍事目標と判断される可能性がある。

しかし、民間空港だからといって自由に攻撃できるわけではなく、軍事利用があるというだけで空港全体への攻撃が正当化されるわけでもない。

仮に軍事目標が存在しても、予想される民間人の被害が攻撃によって得られる具体的な軍事的利益に比べて過大であれば、その攻撃は禁止される。

今回、サウジアラビア側は民間人を巻き込んだ空港への攻撃を戦争犯罪だと非難した。

国連のグテーレス事務総長も10月10日、民間人と民間インフラへの攻撃を強く非難し、直ちに停止するよう求めた。

また、国連のイエメン担当特使ハンス・グルンドベルグ氏は11日、今回の攻撃が地域の安全を脅かし、イエメンの和平努力をさらに難しくすると警告している。

ただし、個別の攻撃が法的に戦争犯罪に当たるかどうかは、攻撃対象の軍事的性質や攻撃方法などを詳しく調べたうえで判断する必要がある。

これからどうなる?

今後の焦点は、サウジアラビアとフーシ派による攻撃の応酬がさらに激しくなるかどうかである。

サウジアラビアは攻撃への報復を示唆し、イエメン国内への軍事作戦を強めている。

一方、フーシ派もサウジアラビアによる軍事行動が続けば、攻撃を拡大する可能性を示している。

さらに、米国のトランプ大統領は10月10日、サウジアラビアによるフーシ派への攻撃に米軍が参加する可能性について、検討していると述べた。

現時点で新たな軍事参加が決定したわけではないが、米国まで攻撃を拡大させれば、紛争がさらに複雑化する可能性がある。

特に懸念されるのは、一般市民が利用する空港や、石油関連施設への攻撃が続くことである。

空港の運航停止が長引けば、航空会社や旅行者だけでなく、サウジアラビアの観光・投資政策にも影響が及ぶ。また、石油施設や重要な海上輸送路に被害が広がれば、国際的なエネルギー供給にも影響しかねない。

今回の事件が示したのは、戦争による被害が戦場の外にいる人々にも及んでいるという現実である。

今後は空港の安全確保と航空便の再開に加え、軍事的な報復を繰り返すのではなく、民間人への攻撃を止められるかが重要な焦点となる。

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