トランプ大統領が核実験再開を指示

目次
指示の報道内容とその文脈
報道によると、10月30日付で「米国が33年間実行してこなかった核兵器実験を直ちに開始するよう、米国防総省に指示した」という。
大統領自身がSNS(「トゥルース・ソーシャル」)上で「他国の核実験プログラムを踏まえ、同等の核兵器実験を開始するよう国防総省に指示した。そのプロセスは直ちに開始する」と投稿したとされる。
ただし、ここで言う「実験」が、
- 核爆発そのもの(核弾頭を爆発させる)
- 核搭載ミサイル等の飛行実験・発射実験
のどちらか明確でないという指摘がある。
また、米国内でも「どのような実験なのか」「実施体制が整っているのか」「リスク・コストや国際的反発をどう考えるか」という混乱や疑問が出てきている。
背景となる核実験停止の歴史
米国は、長らく核爆発を伴う実験(特に新型戦力の実証実験)を1992年以降実質的に停止してきた。
1992年以降、核兵器性能の維持・信頼性確保のためには、爆発実験ではなく「サブクリティカル実験」「シミュレーション」「ストックパイル・ステュワードシップ(兵器庫維持管理)プログラム」が用いられてきた。
- サブクリティカル実験:核分裂反応が「臨界(連鎖反応)」に達しないよう制御して行う実験
- シミュレーション:コンピュータ上で、核爆発や核反応の挙動を数値的に再現する
- ストックパイル・ステュワードシップ(兵器庫維持管理)プログラム:核爆発実験を行わずに、既存の核兵器の安全性・信頼性を長期的に維持する国家プログラム
こうした実験停止は、核実験を新たに行わないという国際規範(例:Comprehensive Nuclear‑Test‑Ban Treaty(CTBT)関連)に支えられており、複数の核保有国が実験を抑制してきた。
なぜ「今」再び実験を指示するか(可能な動機)
報道と専門分析を基に、次のような背景・動機が考えられる。
中国・ロシアとの核戦力競争
報道では、米国側が「中国の核弾頭数の急速な増加」「ロシアの新型核搭載兵器の実験・配備の動き」を理由として挙げている。
例えば、米側推計では中国が2030年までに核弾頭数1,000発を超える可能性があるという。
こうした中で、米国として「核実験を再開しないと核抑止力・信頼性で後れをとる」というメッセージを出したかった可能性がある。
優位性または抑止の演出
実験再開を声明することで、米国の核技術・運用能力に関する優位・決意を国内外へ示すことができる。
また、会談直前(この報道では中国の習近平国家主席との会談の直前)に発表されたという点から、外交・戦略的メッセージ性が高い。
国内政治・軍産複合体の影響
実験再開により、関連産業・契約・国防予算拡大の可能性も指摘されており、軍事産業界からの圧力・期待も背景にありうる。
また、米国内で「核兵器能力を強化すべきだ」という主張が強まる中、再実験指示はその流れに沿ったものである可能性がある。
考えられるリスク・懸念
実験を実際に再開すれば、国際的な核実験停止の規範が弱まり、他の核保有国(特にロシア・中国・北朝鮮)も追随して「実験を再開」する動きが強まるとの懸念が大きい。
実際、専門家は「米国にとって利益が少ない。むしろ他国にデータを提供することになる」「核拡散を誘発しかねない」と指摘している。
技術的・コスト的にも、33年ぶりに爆発実験を再開するにはインフラの再構築、環境・安全保証、政治的・外交的反発の克服が必要とされており、即座の実行は難しいとされている。
歴史的な意味合い
米国が1992年以降実質的な核爆発実験を行っていないという事実と、今回の指示が「33年ぶり」という言及と合致している。
もし実行されれば、冷戦終結後の核実験停止時代からの転換点となり、国際核軍備管理・核不拡散制度(Nuclear Non‑Proliferation Treaty(NPT)体制など)に対する重大な挑戦となる。
また、実験停止を長年守ってきた米国内外の合意・技術的代替手段(ストックパイル・ステュワードシップ)に対する信頼にも影響を与え得る。
総合的な読み解き
この指示は、米国が核戦力・抑止力に関して中国・ロシアとの競争において「後れを取らない」姿勢を目に見える形で示そうとしている。
特に外交・戦略的なメッセージが強く、技術的・実務的な即時実行というよりも「意図・方向性」を示すものと解される。
しかし、その一方で、実際に核爆発実験を再開すれば、国際安全保障環境や核不拡散体制に重大な波紋を投げかけるリスクがある。
米国が内部的に「実験は必要ない」としてきた長年の方針もあり、実行可能性・実際のスケジュール・範囲については不透明なままである
余談

核実験ってどうなっちゃうの?人類は滅びちゃう?

この決定によって、中国やロシア、北朝鮮などの核保有国が報復的に核実験を再開する可能性がある。各国の軍事費が増加するかもしれないな

軍事費が上がることで増税して、生活に何らかの影響が出るかもね
ソース
Trump tells Pentagon to resume testing US nuclear weapons | Reuters
Trump’s nuclear testing plan raises fears, confusion in Washington | Reuters
No Going Back: 20 Years Since the Last U.S. Nuclear Test | Arms Control Association
Preventing a Resumption of Nuclear Testing | Arms Control Association
The Case Against Nuclear Testing | Friends Committee On National Legislation