ふるさと納税ってそもそも何? 総務省が問題視する「手数料11.5%」の正体

ふるさと納税ってそもそも何? 総務省が問題視する「手数料11.5%」の正体

何が起きた?

2026年9月15日、林芳正総務相は、ふるさと納税の仲介サイトに求めていた手数料引き下げについて、「ほぼゼロ回答と受け止めている。大変残念だ」と述べた。

総務省は5月、楽天ふるさと納税や「さとふる」などのように、自治体と寄付者をつなぐポータルサイトの運営事業者へ手数料の引き下げを要請していた。

8月までに20社が回答したが、基本手数料を引き下げると明確に回答したのは1社だった。ほかにも一部のサービスプランを値下げする事業者はあるものの、14社は現行の手数料を維持すると回答した。

林総務相は、ふるさと納税が公的な税制を使った制度であるにもかかわらず、多額のお金が自治体の外にある事業者へ流れていることに「強い問題意識」を示している。

簡単にいうと

そもそも「ふるさと納税」という名前だが、実際には好きな自治体への寄付である。

たとえば、控除できる上限に余裕がある人が自治体に5万円を寄付した場合、原則として2,000円を除く4万8,000円分が所得税や住民税から控除される。

さらに自治体によっては、米、肉、魚、日用品などの返礼品を受け取れる。

イメージとしては、

「これから負担する税金の一部について、自分で応援したい自治体を選び、2,000円を自己負担して寄付する」

仕組みに近い。

ただし、本当に税金そのものを直接移動させているわけではない。いったん自分のお金で自治体へ寄付し、その後の税負担が軽くなる仕組みである。

控除できる金額には年収や家族構成などに応じた上限があり、上限を超えて寄付すれば、その部分は通常の寄付として自己負担になる。

それで何が変わる?

今回すぐに利用者のふるさと納税が使えなくなったり、自己負担額が2,000円から変わったりするわけではない。

焦点となっているのは、寄付されたお金のうち、最終的に自治体が地域のために使える割合を増やせるかである。

2025年度のふるさと納税は約1兆3,314億円と過去最高になった。

一方で、返礼品の調達費は寄付総額の26.5%、送料や決済、事務などを含む募集費用全体では47.9%に達している。

つまり全国平均で見ると、1万円の寄付があっても、返礼品や各種経費を差し引いたあと自治体側に残るのは約5,200円である。

その経費の中でも総務省が今回特に問題視しているのが、ポータルサイト事業者へ支払われる手数料である。

2025年度は寄付額の平均11.5%、金額にすると約1,490億円に達した。

1万円の寄付なら、平均約1,150円に相当する規模である。

なぜ仲介サイトにそんなに払うの?

「だったら自治体が楽天やさとふるを使わなければいい」と思うかもしれない。

しかし実際には、ポータルサイトには大きな集客力がある。

利用者は全国の返礼品を検索し、比較し、そのままクレジットカードなどで寄付できる。自治体側も自前で大規模な通販サイトのような仕組みを作る必要がない。

ポータルサイト側は、サイト運営だけでなく、寄付者の集客、決済、寄付情報の管理、問い合わせ対応などさまざまな業務を担っている。

そのため手数料そのものが不要というわけではない。

問題は、公的な税制を利用して集めた寄付金から、どこまで民間企業へ支払うのが妥当なのかという点である。

しかも自治体同士には「少し高い手数料を払ってでも、有名サイトに掲載したほうが寄付を多く集められる」という競争が生じる。

結果として、地方を応援するための制度が、返礼品を並べて寄付者を奪い合う巨大な市場へ変化してきた側面もある。

利用者には便利でも、制度全体から見ると、返礼品、送料、広告、決済、サイト手数料などにかなりのお金が使われているのである。

これからどうなる?

国はすでに、自治体に残るお金を増やす方向へ制度を変更している。

2026年度の税制改正では、寄付額から募集費用を引いた「寄附金活用可能額」を段階的に増やす仕組みが導入される。

2026年10月からは少なくとも52.5%、2027年10月から55%、2028年10月から57.5%とし、その後は原則60%以上を自治体に残すことを求める。

つまり現在の「経費は寄付額の5割以下」という制度から、最終的には「自治体が少なくとも6割を地域のために使えるようにする」方向へ変わっていく。

ところがポータルサイト側が手数料を下げなければ、自治体は限られた経費の中から別の部分を削らなければならなくなる。

返礼品には調達額を寄付額の3割以下とする別の基準もあるため、送料、事務費、サイト利用料などの見直しがますます重要になる。

今回、総務省からの自主的な値下げ要請に多くの事業者が応じなかったことで、林総務相は年末の税制改正に向けて追加対応を検討するとしている。

現時点で「ポータルサイトの手数料を○%以下にする」といった新しい上限規制が決まったわけではない。

今回のニュースで問われているのは、単に「楽天やさとふるの手数料が高いか」だけではない。

地方を応援するために作られた制度で、集めたお金の半分近くが返礼品や運営経費に使われる現在の仕組みを、このまま続けてよいのか。

ふるさと納税そのものの制度設計が、改めて問われ始めているのである。

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