生成AIは子どもの学習にどこまで浸透した? 2023年にはすでに宿題利用34%

生成AIは子どもの学習にどこまで浸透した? 2023年にはすでに宿題利用34%

何が起きた?

ChatGPTが一般公開された翌年の2023年夏、すでに一部の学生は生成AIを宿題に使い始めていました。

ナイルが運営する「Appliv」が、夏休みの宿題や課題があった15~29歳の男女533人を対象に調査したところ、34.1%が宿題に生成AIを使ったと回答しました。

利用者182人のうち、85.7%は「宿題がはかどった」と答えています。最も多かった用途は「論文やレポートの執筆」で103人、続いて数学の問題65人、読書感想文48人でした。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)

当時は「学生がAIで宿題をして大丈夫なのか?」という議論が始まったばかりでした。

それから3年。

2026年現在、生成AIは一時的な流行で終わるどころか、子どもの学習で使われる道具の一つになりつつあります。

簡単にいうと

2023年の生成AIは、学校に突然やってきた「ものすごく物知りな転校生」のような存在でした。

質問すれば答えてくれる。文章も書ける。数学の解き方も説明してくれる。

しかし先生側も、

「どこまで手伝ってもらっていいの?」

「答えを丸ごと書かせたら宿題にならないのでは?」

と、扱い方をまだ決め切れていませんでした。

ところが現在は、その転校生が学校からいなくなるどころか、多くの子どもが普段から話しかける存在になり始めています。

2025年のベネッセ教育総合研究所と東京大学の調査では、学校外の学習で生成AIを使う割合が、中学生で約33%、高校生で約58%まで増えていました。2024年はそれぞれ約20%、約34%だったため、わずか1年でも利用が大きく広がっています。(ベネッセ教育情報)

それで何が変わる?

大きく変わったのは、学校側が「使わせるか、禁止するか」だけでは考えにくくなったことです。

生成AIはスマートフォンから簡単に使えます。

学校で禁止しても、自宅でChatGPTやGeminiに、

「この問題を説明して」

「レポートの構成を考えて」

「英作文を添削して」

と聞くことはできます。

2025年の学研の調査でも、対話型生成AIを利用している割合は、小学生36.6%、中学生43.2%、高校生73.7%でした。利用目的では、どの年代でも「情報収集のサポート」と「宿題・勉強の手助け」が上位に入っています。(学研ホールディングス)

さらに2026年8月に公表された小中学生の保護者825人への調査では、47.1%が「子どもは日頃の学習で生成AIを使っている」と回答しました。

一方で、「AIの答えをそのまま使って自分で考える機会が減る」「AIに頼りすぎる」といった不安も多く挙げられています。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)

つまり現在の問題は、

「AIを使うかどうか」

から、

「AIに何を任せ、何を自分で考えるのか」

へ移り始めています。

2023年から3年で、どこまで広がった?

ここで注意したいのは、2023年の「34.1%」と現在の数字をそのまま比較することはできない点です。

2023年のAppliv調査は、夏休みの宿題があった15~29歳533人へのインターネット調査です。

一方、2025年のベネッセ調査は学校外での学習、学研調査は生成AI全般の利用、2026年の調査は小中学生の保護者が回答した「日頃の学習」での利用です。

対象も質問も違います。

そのため、

2023年34% → 2026年47%になった

と単純に利用率の伸びとして計算することはできません。

それでも、複数の調査から共通して見えてくる傾向があります。

生成AIを使ったことのある子どもが増え、しかも学習や宿題が代表的な用途になっていることです。

高校生では特にその傾向が強く、2025年の別の調査でも、生成AI利用経験者の用途1位は「宿題や課題の答えを調べるため」でした。(MMD研究所)

2023年にはまだ、

「ChatGPTで読書感想文を書いたらどうする?」

という使い方そのものがニュースになっていました。

現在は、

「AIを使うことを前提に、どう学習させるのか?」

という段階へ進んでいます。

学校は「禁止」からどう変わった?

文部科学省も、この3年間で対応を変化させています。

2023年7月に最初の暫定ガイドラインを公表した当時は、生成AIについて「限定的な利用から始めることが適切」とする慎重な姿勢が中心でした。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)

その後、2024年12月にはガイドラインをVer.2.0へ改訂。

2025年度、2026年度には全国で「生成AIパイロット校」を指定し、児童生徒の学習での利用だけでなく、教員の校務、生成AIを含む情報活用能力を育てる教材などの実証も続けています。(文部科学省)

つまり、国の方向性も

「生成AIを学校から遠ざける」

ではなく、

「リスクを理解したうえで、教育にどう組み込むかを試す」

方向へ進んでいます。

ただし、AIが便利だからといって、宿題そのものを丸投げしてよいわけではありません。

社会人がAIで仕事を効率化する場合は「早く正しい成果を出す」ことに価値があります。

しかし学校では、答えを出すまでに自分で考え、失敗し、理解する過程そのものが学習です。

ベネッセ教育総合研究所も、AIによって成果や効率を高められる一方、自分で試行錯誤する過程を省略すると「答えは出せるが身についていない」状態につながる可能性を指摘しています。(ベネッセ教育情報)

2023年の「宿題に生成AIを使った学生が34%」という数字は、今見ると単なる昔の調査ではありません。

生成AIが教育へ入り始めた最初期の記録として見ることができます。

そして3年後の現在、問題は「子どもにAIを使わせるべきか」だけではなくなりました。

これから重要になるのは、

AIに答えを作らせる方法ではなく、AIを使って自分で考える力をどう伸ばすか

という教育そのものの設計になりそうです。

情報源