36万円の「折りたたみiPhone」登場 そもそも折りたたみスマホは誰が欲しい?

36万円の「折りたたみiPhone」登場 そもそも折りたたみスマホは誰が欲しい?

何が起きた?

Appleは2026年9月9日、同社初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を発表しました。

閉じた状態では5.4インチの画面を持つ普通のスマートフォンとして使い、開くと7.6インチの大画面になります。大きな画面では2つのアプリを同時に表示するなど、スマートフォンと小型タブレットの中間のような使い方ができます。

日本では256GBモデルが36万4,800円(税込)から。10月16日に予約注文を開始し、10月23日に発売される予定です。

ただ、ここで一つ疑問があります。

そもそも折りたたみスマートフォンを欲しがっている人は、そんなにいるのでしょうか。

簡単にいうと

折りたたみスマホの考え方は、**「ポケットにはスマホとして入るけれど、必要な時だけ小さなタブレットになる端末」**です。

電車では閉じたままメッセージを確認し、座ったら開いて電子書籍や動画を見る。仕事なら、片方に資料、もう片方にメールを表示するといった使い方ができます。

便利そうではあります。

しかし実際の市場を見ると、折りたたみスマホはまだ主流とはほど遠い存在です。

Counterpoint Researchによると、2025年の世界出荷台数は約1,960万台で、スマートフォン全体の**わずか1.6%**でした。

2026年時点でも全体の約2%にとどまっています。

つまり、折りたたみスマホが登場して何年もたっているにもかかわらず、スマホ100台のうち98台ほどは今も普通の板状スマホということです。

それで何が変わる?

iPhone Duoが発表されたからといって、すぐに普通のiPhoneが折りたたみ型へ置き換わるわけではありません。

むしろ当面は、普通のスマホでは画面が小さいと感じている人や、スマホとタブレットを1台にまとめたい人向けの高級モデルと考えた方がよさそうです。

最大の壁は価格です。

iPhone Duoは36万円を超えます。便利だから少し高いという水準ではなく、一般的なスマートフォンとはかなり違う価格帯です。

さらに折りたたみ端末には、構造が複雑になることによる厚さや重さ、ヒンジや画面の耐久性、画面中央の折り目など、普通のスマホにはない課題があります。

折りたたむことで得られる大画面の便利さが、それらの欠点と高価格を上回る人でなければ、購入する理由はそれほど強くありません。

そもそも折りたたみスマホに需要はある?

需要はあります。ただし、今のところは「大勢が欲しがっている」ではなく、「一定数が高いお金を払ってでも欲しがっている」市場です。

これはメーカーにとっては必ずしも悪い話ではありません。

折りたたみスマホは販売台数こそ少なくても価格が高いため、高級スマートフォン市場の商品として価値があります。

SamsungやHuaweiなどが何年も折りたたみ端末を作り続けているのも、この需要が完全になくならないからです。

Counterpoint Researchは、折りたたみスマホの世界累計出荷台数が2026年末までに1億台を超えると予測しています。

一方で、市場全体に占める割合はまだ約2%です。

ここから分かるのは、

「誰も買っていない」わけではないが、「スマホの次の標準」になったとも言えない

という微妙な位置にあることです。

Appleが参入すると本当に普及する?

ここが今回のニュースで一番重要なところです。

Samsungは2019年に初代Galaxy Foldを発売しましたが、その後も折りたたみスマホは主流になりませんでした。

Appleはそこへ7年ほど遅れて参入したことになります。

ただし、これはAppleにとって珍しい戦い方ではありません。

新しい製品分野へ最初に参入するのではなく、技術がある程度成熟してから入り、既存ユーザーへ広げるという方法です。

Counterpoint Researchは、Apple参入などを背景に、2027年の世界の折りたたみスマホ出荷台数が前年比37%増えると予測しています。Apple自身も2026年だけで折りたたみ市場の25%を取る可能性があるとみています。

もちろん、これは発売前を含む市場予測であり、実際に売れることが確認されたわけではありません。

iPhone Duoの本当の意味は、「Appleも折りたたみスマホを作った」ことだけではありません。

何年たっても世界の約2%しか使っていない製品を、Appleが普通の人も欲しがる製品に変えられるのか。

36万円を超える価格でも、「スマホとタブレットが一つになるなら欲しい」と考える人がどれだけいるのか。

今回のiPhone Duoは、その答えを試す製品になりそうです。

情報源