日本の電気、2027年は余裕が少ない? 発電所を追加募集しても目標に届かず

何が起きた?
2027年度に必要となる発電能力を確保するため、電力広域的運営推進機関が「容量市場」で追加募集を行いました。
ところが、追加募集に参加した発電設備をすべて採用しても、目標としていた約1億9398万kWに届きませんでした。確保できたのは約1億9280万kWで、約118万kW不足しています。
さらに2027年度の電力需給を試算すると、厳しい寒さになった場合、1月前半の中部・北陸・関西・中国・九州では、安定供給の目安となる「予備率3%」を確保できない見通しです。
ただし、これは「2027年に日本の電気が118万kW足りなくなり、停電する」という意味ではありません。
問題になっているのは、電気を最も多く使うときに備えた予備の発電能力に十分な余裕がないことです。
簡単にいうと
容量市場とは、電気そのものではなく、「必要になったときに発電できる能力」をあらかじめ予約する仕組みです。
たとえば大雪に備えて、自治体が除雪車を準備しておくようなものです。
普段から100台すべてを走らせる必要はありません。しかし大雪になったとき、「すぐ100台動かせます」という状態を維持しておかなければなりません。
電力も同じです。
猛暑や寒波でエアコンの使用が急増したり、発電所が故障したりしても電気を届けられるよう、数年前から発電所などを確保しておきます。
今回、その「いざというときに使える発電能力」を追加募集したのですが、応募してきた設備を全部採用しても予定量に届かなかったのです。
ここが今回のニュースで重要なところです。
それで何が変わる?
今すぐ家庭で節電が必要になったり、2027年に必ず停電したりするわけではありません。
しかし、電力供給の余裕が小さくなれば、猛暑や寒波、発電所の故障などが重なったときのリスクは高くなります。
特に2027年度は、厳しい寒さになった場合の1月前半に、中部から九州までの広い地域で予備率3%を下回る試算が出ています。
そのため電力広域的運営推進機関は、電力会社などに対し、電力が不足しやすい時期には発電所や送電設備の点検をできるだけ別の時期へ移すよう求めています。
もう一つ、私たちに関係するのがお金です。
容量市場では、発電所に「将来も発電できる状態を維持してください」と対価を支払います。その費用は「容量拠出金」として、主に電気を販売する会社などが負担します。
2027年度の容量拠出金は約1兆2000億円となり、2026年度の約1.5倍になるとの試算が示されています。
これがそのまま各家庭の電気料金を1.5倍にするわけではありません。ただ、発電能力を確保するためのコストが大きくなれば、最終的に電気料金へ影響する可能性があります。
なぜ発電所を追加募集しても足りなかった?
一つの理由は、古い火力発電所などの休止や廃止が進んでいることです。
火力発電所は燃料費や維持費がかかります。電力需要の少ない時期にはあまり動かさなくても、いつでも発電できるよう設備や人員を維持しなければなりません。
そのため採算が悪化し、古い発電所を休止・廃止する動きが続いています。
一方で、太陽光や風力発電は増えています。
ただし太陽光は夜には発電できず、曇りや雨でも発電量が減ります。再生可能エネルギーが増えることと、「電気が足りない瞬間に確実に発電できる設備」が十分あることは、同じではありません。
さらに今後は、データセンターなどによる新しい電力需要の増加も見込まれています。
つまり日本では、
使える発電所が減る問題
と、
将来の電力需要が増える可能性
の両方を考えながら、必要な設備を確保しなければならなくなっています。
「118万kW不足」はどれくらい深刻?
数字だけを見ると「日本の電気が足りなくなる」と心配になりますが、118万kWはあくまで容量市場で設定した目標調達量との差です。
日本全国で2027年度に常時118万kWの電気が不足する、という意味ではありません。
容量市場は、普段必要な分だけでなく、予想外の猛暑や寒波、発電所の故障などにも耐えられるよう余裕を持って発電能力を確保する制度です。
その余裕が目標より小さくなったことが問題なのです。
今後は、休止している発電所を予備として確保する、発電所の点検時期を調整する、地域間で電気を融通するなど、別の方法でも供給力を確保していくことになります。
今回の結果から分かるのは、「2027年に停電する」と決まったことではありません。
むしろ、
日本では、電気を作れる設備を十分に残しておくこと自体が以前より難しく、そして高くなってきている
ということです。
電力不足を防ぐには発電所を維持する必要があります。しかし使う機会の少ない発電所まで維持すれば、その費用も誰かが負担しなければなりません。
2027年度の問題は、単なる「電気が足りるか」という話ではなく、安定供給と電気料金の負担をどう両立するかという問題になっています。