PS6のBOMが約960ドルに上昇との推定 「1000ドル前後」はあり得るのか

PS6のBOMが約960ドルに上昇との推定 「1000ドル前後」はあり得るのか

何が起きた?

Sonyの次世代ゲーム機「PlayStation 6(PS6)」について、部品表に基づく原価「BOM」が約960ドルまで上昇したとの推定が出ています。

AMD関連の情報で知られるKepler_L2氏は2026年3月、PS6のBOMについて「現在の推定は約760ドル」とNeoGAFへ投稿していました。

その後、6月27日に同氏は、

「あの投稿をして以降、BOMは約200ドル上がった」

と投稿しています。

単純に足すと、現在の推定は約960ドルになります。

ただし、これはSonyが発表した数字ではありません。

PS6は正式発表されておらず、最終的な仕様、発売時期、価格も決まっていません。あくまで未発表ハードの想定仕様と部品価格をもとにした、リーカーによる推定です。

簡単にいうと

ゲーム機は、高性能なパソコンに近い部品を大量に仕入れ、大量生産によって価格を抑える商品だと考えると分かりやすいです。

ところが現在は、AI向けデータセンターなどでも大量のメモリやストレージが必要になっています。

その結果、ゲーム機、パソコン、スマートフォン、AIサーバーなどが同じ半導体製造能力を取り合う状況になっています。

Sony自身も2026年5月、

メモリ価格の上昇はBOMコストを増やし、製造コストを悪化させる

と説明しています。

さらにSonyは、メモリ価格が2027年まで高止まりし、需給も厳しい状態が続くという見方を前提に、次世代機の価格や事業モデルを検討するとしています。

TrendForceも2026年第3四半期について、一般的なDRAMの契約価格が前四半期比13~18%、NANDフラッシュが10~15%上昇すると予測しています。

つまり、

「PS6だけが突然高くなった」

というより、

ゲーム機を作るための材料そのものが高くなっている

という状況です。

それで何が変わる?

最大の問題は、次世代ゲーム機を従来と同じ感覚の価格で売ることが難しくなる可能性があることです。

Kepler_L2氏が3月に推定していたBOMが760ドルなら、699ドルで発売して本体では一定の赤字を負担し、ゲームやサービスなどで回収する考え方もまだ想像できます。

しかしBOMが960ドルなら、699ドルとの差だけでも261ドルあります。

しかもBOMは、基本的には製品を構成する部品のコストです。

最終的にゲーム機を販売するには、組み立て、梱包、輸送、販売店の取り分なども関係します。

そのため、

BOMが960ドル=960ドルで売れば赤字にならない

という意味でもありません。

Sonyには、

  • 本体価格を上げる
  • メモリ容量を減らす
  • SSD容量を抑える
  • 部品構成を見直す
  • 発売当初は一定の赤字を負担する

といった選択肢が考えられます。

実際、Sonyは5月の説明会で、メモリ高騰への対応として、ハードウェア価格だけでなく販促費、他の部品コスト、販売方法、場合によっては事業モデルまで含めて検討すると説明しています。

本当に1000ドル近い原価になり得る?

ここからは、公開されている部品価格と噂されている仕様から考える概算です。

PS6については、Kepler_L2氏から30GBのGDDR7メモリを搭載するという未確認情報が出ています。

ストレージについても、コスト削減のため1TB SSDにする可能性があるとの情報があります。

ただし、Sonyはどちらも正式発表していません。

現在の半導体価格を見ると、メモリとストレージが非常に高くなっていること自体は確認できます。

TrendForceが8月3日に掲載したGDDR6 8Gbチップのスポット価格は平均11.683ドルでした。8Gbは容量にすると1GBなので、単純計算では30GB分で約350ドルになります。

ただし、この計算をそのままPS6の原価には使えません。

PS6で噂されているのはGDDR7であり、Sonyのような大企業はスポット市場ではなく、大量・長期契約で調達すると考えられるためです。

したがって、この数字から言えるのは、

「30GB級の高速メモリが現在かなり大きなコスト要因になり得る」

という程度です。

ストレージも同様です。

TrendForceによると、2026年第2四半期のPCメーカー向け1TB PCIe SSDの平均契約価格は270.10ドルでした。

しかしPS6が完成品のPC用SSDをそのまま内蔵するとは考えにくく、NANDフラッシュやコントローラーを独自構成で調達すれば価格は変わります。

そのため、

「PS6の1TB SSD部分が270ドルする」

とは言えません。

それでも、

  • カスタムAMD SoC
  • 30GB級の高速メモリ
  • 1TB級のフラッシュストレージ
  • マザーボード
  • 電源回路
  • 冷却機構
  • 通信部品
  • ケース
  • コントローラー

まで含めれば、現在の部材価格環境でBOMが数百ドル後半から1000ドル近くになること自体は、荒唐無稽とは言い切れません。

ただし、ここから先を「独自試算で980ドル」と1ドル単位に近い精度で示すのは避けた方がいいでしょう。

公開情報だけでは、Sonyの実際の調達価格や最終仕様が分からないためです。

したがって現時点では、

Kepler_L2氏の約960ドルという推定は、現在のメモリ・ストレージ価格を見る限り、明らかにあり得ない数字とは言えない

という整理が最も妥当です。

本当にPS6は1000ドルで売られる?

ここは特に分けて考える必要があります。

BOMが960ドルという推定と、PS6が1000ドルで発売されるという話は同じではありません。

Sonyは2026年5月の決算説明で、次世代プラットフォームについて、

「発売時期や価格について決定していない」

と明言しています。

7月31日の決算でも、現在販売しているPS5については、2026年度に必要なメモリ数量を確保済みで、メモリ価格上昇を織り込んでもハードウェアの収益性を前年度と同程度に維持する計画だと説明しています。

Sonyには大量調達による値引きがあります。

さらにPS6の発売までに、

メモリ価格が下がる

可能性もあれば、

仕様そのものを変更する

可能性もあります。

反対に、価格上昇が続けば、現在よりBOMがさらに上がる可能性もあります。

つまり現時点では、

「PS6は1000ドルになる」

と断定することはできません。

一方で、

「ゲーム機だから500~600ドル程度で当然に出せる」

とも言いにくい状況になっています。

PS6の価格を左右する最大のポイントの一つは、性能そのもの以上に、発売時期までにメモリとストレージの価格がどこまで落ち着くかになりそうです。

今回の約960ドルという数字はSony公式ではありません。

しかしSony自身がメモリ高騰を次世代機の重要な課題として認めていることを考えると、「次世代ゲーム機の価格が大幅に上がる可能性」を考える材料としては無視できない推定と言えます。

情報源