若者に「setlog」が流行 なぜ人気?使う前に知っておきたい注意点

何が起きた?
友達同士で短い動画を共有するSNSアプリ「setlog(セットログ)」が、10~20代を中心に人気を集めています。
setlogは、日常の一瞬を短い動画で撮影し、友達の動画と一緒に並べて「1日のVlog」のように残せるアプリです。日本では2026年5月ごろから急速に広がり、9月5日時点で日本のApp Store「ソーシャルネットワーキング」部門1位になっています。
学生向け「学割」アプリが2026年7月に479人を対象に行った調査では、setlogを知っている人が91.4%、利用している人が73.7%でした。利用者の93.1%は3カ月以内に使い始めたと答えています。
ただし、この調査は学生向けアプリの利用者を対象にしたもので、回答者479人のうち414人が女性です。「日本の学生の7割が使っている」という意味ではありません。それでも、App Storeランキングなどと合わせると、若い世代で急速に広がっていることはうかがえます。
簡単にいうと
setlogは、「友達みんなで作る動画日記」のようなSNSです。
Instagramでは、きれいな写真を選び、加工したり文章を書いたりしてから投稿することがあります。TikTokなら動画を編集することもあります。
setlogでは、そうした「作品を作る」感覚よりも、
「学校に向かっている」
「ご飯を食べている」
「友達と遊んでいる」
といった何気ない瞬間を短く残していきます。
同じ時間帯に友達が撮った動画も一緒に見られるため、あとから振り返ると、同じ1日をそれぞれがどう過ごしていたのかが分かります。
Instagramが「みんなに見せるアルバム」なら、setlogは「仲のいい友達と共同でつける動画日記」に近いサービスです。
それで何が変わる?
setlogの人気から見えてくるのは、若者がSNSに求めるものが少し変わっている可能性です。
InstagramやTikTokでは、多くの人に見てもらうことができます。その一方で、「いい写真を載せたい」「反応が欲しい」「何か面白いものを投稿しなければ」と感じる人もいます。
setlogは逆です。
不特定多数へ発信するより、親しい友達数人の日常を見ること自体を楽しむ使い方が中心になっています。
学生調査でも、setlogでつながっている相手として「学校の親しい友達」を挙げた人が75.9%と最も多くなりました。使い始めた理由も「友達に誘われた」が70.9%で、TikTokやInstagramなどで知ったという回答を大きく上回っています。
SNSが、
「自分を大勢に見せる場所」
から、
「仲のいい人と普通の日常を共有する場所」
へ戻り始めているとも考えられます。
なぜ若者に受けている?
大きな理由の一つが、頑張って投稿を作らなくてもいいことです。
学生調査でsetlogの一番の魅力として挙げられたのは、「BeRealのように通知に追われず、自分のペースで記録できる」で35.3%。次が「友達と一緒に1本のVlogを作れる」で24.1%でした。
BeRealは通知が来たタイミングでその場の写真を撮ることが特徴です。「加工されたSNS」への反発から人気になりましたが、今度は通知に合わせて撮影すること自体を負担に感じる人もいます。
setlogは、さらに力を抜いたSNSと言えます。
大まかに分けると、
Instagram:自分をきれいに見せる
BeReal:今のリアルを見せる
setlog:友達と普通の1日を残す
という違いがあります。
面白いのは、利用者自身も流行が長く続くとは限らないと考えていることです。
同じ学生調査では、setlogを使っている人の51.0%が「一時的な流行で終わると思う」と答え、「定着すると思う」の33.7%を上回りました。
setlogそのものが定番SNSになるかはまだ分かりません。
ただ、「大勢から評価されるSNSより、親しい人と気軽につながりたい」という需要は、今後のSNSを見るうえでも重要な変化になりそうです。
使うときに気をつけることは?
setlogの運営元New Chatは、写真・動画などのユーザーデータをエンドツーエンド暗号化して保存し、会社側では内容を復号して閲覧できないと説明しています。
また、暗号化された写真や動画を広告やマーケティング、AI学習などに利用できないとプライバシーポリシーに記載しています。
その意味では、プライバシー保護を意識した仕組みが導入されています。
ただし、暗号化されているから何を撮っても安全、という意味ではありません。
setlogで特に気をつけたいのは、日常を何度も撮影することです。
たとえば動画の中に、
学校の制服、校名、自宅周辺、最寄り駅、通学路、部屋の中、郵便物、パソコンの画面などが映り込むことがあります。
1本の動画だけでは分からなくても、毎日の映像が積み重なることで、
「どこの学校に通っているか」
「何時ごろこの駅を利用するか」
「普段どこにいることが多いか」
といった生活パターンが見えてしまう可能性があります。
「2秒しか映っていないから大丈夫」とは限りません。
また、エンドツーエンド暗号化は、共有した相手まで動画を見られなくする仕組みではありません。
仲のいい友達だけに公開した動画でも、その相手が画面を保存したり、別の端末で撮影したりすれば、アプリの外へ出る可能性はあります。
そのため、基本的には**「あとで他の人に見られても困らない内容か」**を考えてから投稿した方が安全です。
もう一つ注意したいのが、他人の映り込みです。
友達、先生、店員、通行人などは、自分がsetlogを利用しているからといって撮影や投稿に同意しているわけではありません。
setlogが9月19日に発効予定として公開している新しい利用規約でも、ユーザーは投稿するコンテンツについて、必要な権利や同意を持っている必要があるとしています。
App Storeではsetlogの年齢指定は13歳以上。新利用規約でも原則13歳以上とされ、居住地域の法律で必要な場合には未成年者は保護者などの同意が必要とされています。
setlog自体を必要以上に怖がる必要はありません。
ただ、「親しい友達しか見ないから大丈夫」ではなく、「日常を撮るほど個人情報も映りやすい」という点は意識して使った方がよさそうです。