Xboxでゲーム中にCMが流れる? Microsoftの「広告でプレイ時間を稼ぐ」特許出願とは

何が起きた?
Microsoftが、ゲームなどをプレイ中にいったん操作を止めて広告を表示し、広告を見終えると再び一定時間プレイできるようにする技術を米国で特許出願していたことが話題になっている。
2026年9月3日に公開された特許出願「Contextually Aware Management of Interactive Software Application Access」には、ゲームの状況を見ながら広告を入れるタイミングを判断し、その間はゲームを一時停止したり操作を制限したりする仕組みが記載されている。
9月20~21日ごろからRedditで急速に拡散し、r/technologyやr/pcmasterraceなど複数のスレッドで合わせて1万票を大きく超える反応が集まった。
ただし、Microsoftが「Xboxのゲームにこの広告を導入する」と発表したわけではない。
現時点で確認できるのは、あくまで特許出願された技術の内容である。
簡単にいうと
イメージとしては、テレビ番組のCMをゲーム向けにしたような仕組みだ。
ただし、決まった時刻に突然CMが始まるのではない。
たとえばゲームを30分遊べる「クレジット」を持っているとする。
その時間が終わりそうになると、システムがゲームの状況を確認する。
ローディング画面やラウンド終了後など、比較的邪魔になりにくいタイミングを見つけるとゲームを止めて広告を表示する。
広告を見終えると新しいクレジットが与えられ、再びゲームを続けられる、という考え方である。
特許文書ではクレジットの例として、
- 15分
- 30分
- 1時間
- 5ラウンド
- 1レベルのクリア
- オンライン対戦3試合
- 特定のNPCを倒すまで
などが挙げられている。
つまり「30分ごとに必ず広告」という仕組みに限らず、ゲームの進み具合そのものを広告までの単位にすることもできる。
どんなところで広告を入れる?
Microsoftの文書が重視しているのは、広告そのものよりも「いつゲームを止めるか」である。
戦闘の真っ最中に突然広告が入り、その間に敵に倒されてしまっては使い物にならない。
そこで特許文書では、
ローディング画面、ラウンド終了画面、タイトル画面、セーブ画面、物語の章の終わりなどを、広告を入れやすい場面の例として挙げている。
ゲーム側が「今なら止めてもよい」とシステムへ知らせる方法もあれば、映像や音声、ゲーム状態などからシステム側が状況を判断する方法も想定されている。
機械学習を使ってイベントを検出する構成も記載されている。
なお、ネット上では「ボス戦が終わったら広告」という説明も広まっているが、これだけがMicrosoftの想定している場面というわけではない。
中心となる考え方は、プレイヤーへの悪影響が比較的小さい“区切り”を探して広告を入れることである。
「Xboxの有料ゲームにもCM」は決まっていない
今回、特に誤解しやすいのがここだ。
この特許出願だけから、
「Xboxの有料ゲームすべてにCMが入る」
とは言えない。
そもそも特許は、企業が将来使う可能性のある技術を権利化するために出願するものであり、実際の製品に採用されないものも多い。
今回の文書も、特定のXboxゲームやGame Passへの導入計画を発表したものではない。
一方で、技術そのものが無料ゲームだけに限定されているわけでもない。
文書ではパソコンやゲーム機で動くゲームだけでなく、別のサーバーでゲームを実行して映像を送る、クラウドゲームに近い構成も想定されている。
そのため現時点では、
「無料ゲーム向けだから有料ゲームには絶対に使われない」
とも断定できない。
どのサービスで、どの料金体系に利用するつもりなのかは明らかになっていない。
Microsoftはすでに「広告付きXbox」を試している
今回の特許が注目されるもう一つの理由がある。
Microsoftは2026年7月、Xbox Insider向けに広告付きクラウドゲームのテストを開始している。
対象ユーザーは、所有している一部のゲームを追加料金なしでクラウドから遊べる代わりに広告を見る。
ただし、こちらでは広告が流れるのはゲームを始める前である。
1回のプレイセッションは1時間までで、Microsoftはゲームそのものの体験は変えず、広告によってゲームプレイの流れを中断しない方針を明記している。
つまり現在の状況は、
実際にテスト中のXbox広告
→ ゲーム開始前に広告
今回話題になった特許出願
→ ゲームの途中でも、適切な区切りでゲームを止めて広告
という違いがある。
この2つを同じものとして扱うのは正確ではない。
なぜこれほど反発している?
今回の仕組みは、スマートフォンの無料ゲームではそれほど珍しくない考え方でもある。
「広告を見るともう一度プレイできる」「広告を見ると報酬がもらえる」といった仕組みは、すでに広く利用されている。
しかし、それをPCや家庭用ゲーム機にも広げられる技術としてMicrosoftが特許出願したため、
「買い切りゲームにも広告が入るのではないか」
「ゲームまで動画配信サービスのようになるのではないか」
という警戒が広がった。
もっとも、現段階ではそこまで決まったわけではない。
分かっているのは、Microsoftが少なくとも2023年から、ゲームの状況に合わせてプレイを中断し、広告を見ることで次のプレイ時間を与える技術の権利化を進めてきたということだ。
そしてMicrosoftが2026年になって実際に広告付きクラウドゲームのテストを始めているため、単なる机上の広告研究として片づけにくくなっている。
今後見るべきなのは、この特許が成立するかどうか以上に、広告付きXboxサービスが「ゲーム開始前の広告」のままなのか、それともゲーム中の広告へ広がっていくのかだろう。
情報源
- Justia Patents「Contextually Aware Management of Interactive Software Application Access」
- Google Patents「Contextually Aware Promoted Content in Interactive Software Application」
- Xbox Wire「Beginning Ad-supported Game Streaming Test & Learn」
- Tom’s Hardware「Microsoft patents system to freeze games and inject ads during downtimes」
- Reddit r/technology「Microsoft patents system to freeze games and inject ads during downtimes」
- Reddit r/pcmasterrace「Microsoft patents system to freeze games and inject ads during downtimes」